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懐かしさに思わずみんなの顔を見渡す。
私と同じ位の身長だったカズチは、この中の誰よりも大きくて立派な男の子になっていたけれど、トレードマークの毬栗頭は健在だ。
いつもズボンばかり履いていたカヨチは、制服のスカートを履いているせいか昔より女の子らしく見えるけれど、眉の上で揃えられた前髪も黒髪のベリーショートも変わらない。
マミチは昔よりも大人っぽくなっているけれど、チャームポイントの三つ編みも笑うとできるエクボも変わりない。
どうやら私が都会に揉み揉まれていた間、みんなは変わらず穏やかな生活を送り、その中でのほほんと育っていたようだ。
……羨ましい。
先生が若いのも、きっとこの村でストレスフリーな生活を送っているからだろう。
都会の忙しない日々の中では、誰だってくたびれてしまう。
この私だって、幾分か老けてしまったように思う。
「転校生なんて珍しいな」
ガズチの言葉に内心ドキリとした。
過疎化の進んだこの村に、率先して越して来る住民はいない。
__殆どが出戻りだ。
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