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……まあ、無理もない。
この村にいた時、私の苗字は父方の苗字である“田中”を名乗っていたし、外見も今とは大きく異なる。
「……東京か。いいな」
と、小さく呟いたマミチと幼い頃の自分が重なる。
最初は、私だって憧れていた。
だけど東京に行って、物が豊かになればなる程に私や両親の心は荒んでいった。
忙しない毎日。
排気ガスの匂いがする空気。
不味い水。
両親は喧嘩が絶えなくなり、やがて離婚した。
そして私と母は、父を置いてこの田舎に戻ってきた。
そして私は母の旧姓を名乗ることになったのだ。
「じゃあ、木村さんの席はカズチの横ね。後は、みんなに任せた」
敢えて苗字で呼んでくれた先生が、一度教室から出て行くとみんなが私の席を囲む。
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