クリスマスなのに

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クリスマスなのに

木枯らしが吹く風が黒髪を揺らす。街はもうクリスマス。 あちこちにサンタやツリーが並び、本当なら手を繋いでデート なのに用事じゃ仕方ないよね。 「日向(ひなた)くん…」 由羅(ゆら)カオルは、息をはいた。 すぐ、白く凍り消える。 日向くんは、お人好し。 由羅は、そんな日向くんが好き。 きっと、誰かに捕まって何か、またやらせたりしてる。 そんな日向くんが好きなので、 由羅はまた困ってしまう。 厄介事で、動けないのだ。 でなきゃ、日向くんが由羅を 困らせるはずがない。 「プレゼント?由羅ちゃんの 手編み?なら、一緒に毛糸を 選ぼうよ」 うれしそうな顔。 日向くんは、太陽みたいに笑う。 私は、ひまわり。 いつも、あなたを追いかける。 いつもどんどん1人で、行っちゃう、でも途中で振り返り待っててくれる。 私は、そうな日向くんが大好きなの。 でも、クリスマスが来ちゃった。 今から手編みじゃ間に合わない。 「上手く、いかないな」 学園では、由羅は【学園のヒロイン】と呼ばれている。 中・高等部、合体の華陽(かよう)学園で誰もが認める人気。 由羅は嫌ってるが、ファンクラブ があるほどだ。 なのに、仲よしカップルなのに、すれ違い。一応、プレゼントは、 用意したけど、やはり日向くんが 選んだ毛糸で、せめてマフラー くらい…と思ってしまう。 (私、欲張りだよね)
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