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そうして翌日の水曜日。エムカルの定休日で、緋奈巳の定休日でもある。
今日は夕方から坂井さんの自宅に集合だ。
凜は千津と遅れて参加する。あいつらは、何処まで進んでるんだ…?いや、いい。もう大人だ。うん。大人なんだ…。
「ふふ。過保護だね」
俺の動揺に感づいて、隣で緋奈巳が笑って言った。坂井さんの自宅には車で向かっていて、途中で矢嶋を拾った。
「緋奈巳ちゃん。昨夜は…」
と矢嶋が後ろの席から身を乗り出して言いかけると、緋奈巳は助手席から後ろを向いて、
「キンキラリーン!」
と言って左手の薬指の指輪を見せびらかした。
「子供か!」
運転しながら俺は思わず笑うと、後ろで矢嶋も興奮したのか、
「おおおおおっ!!おめでとう!いやぁ、おめでたい!!やったな!祐!良かったな!緋奈巳ちゃん!!」
と大声で叫んでいる。
「うっさい!黙れ、矢嶋」
「えへへ。感動してます。感動続行中です」
緋奈巳は頬を緩ませながら言うと、俺はそんな緋奈巳が可愛くて仕方ないと思った。34歳という年齢だが、中身はまだまだ女子高生、いや、中学生かもしれない。ほんと、大人コドモだ…。
すると、矢嶋がニヤニヤ笑って俺を指差して、
「うぉっ!こっちも感動してる。惚れ直してるぅ!」
と言うと、声を上げて笑った。そして、緋奈巳も一緒に笑っている。俺は窓を開けて、外の空気を吸い込んだ。
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