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こんな偶然、実際にあるもんなんだな。
俺は、リビングからベランダに出て缶ビールを片手に夜空を見上げた。すでにビールは半分くらい減っている。俺は、はあっとため息をこぼすと、缶ビールを口元に持っていって、グビグビと喉を鳴らしながら勢いよく飲んだ。
「まさか、また会えるとはね。しかも、凜のバイト先の人か」
頬杖をついて、緋奈巳さんの顔を思い浮かべた。ちゃんと普通に話したこともないけど、なんとなく放っておけない。あの時は、酷く傷ついていたし。泣いてる顔と寝顔しか、ほとんど知らない。性格も何も、知らない人。
ふと、我に返った。何考えてんだ、俺は…。そう思って、少し笑ってしまった。
時間が、流れたんだな…。
こんな風に、萌梨ではない別の女のことを考えるなんて、なかなかないよな…。
でも。
気になっているからといっても、それが全て恋愛とかに結びつけられるものでは、ない。結び付けては、いけない。
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