いつもの通り

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都立喜多方高校は、豊島区に位置するまあまあの進学校。因みに、駅から7分。 私の家からはなんと歩いて3分くらいのところにある。すなわちそれはウタくんの家からも3分という意味でもあって。 同じ高校に行くことは知っていたから、自然と一緒に登校することになった。 私たちは高校二年生で、日々満ち足りた高校生活を送っている。 仲の良い友達もいて、授業も楽しくて。ただ、クラスの皆はお付き合いする事が頻繁にあるのに、私には彼氏ができないのが少し悩み。 「ウタくん」 「ん?」 「わたし、お付き合いするのに…向いてないの?」 ウタくんがきょとんとした目でこっちを見る。 「…どうして?」 「だって、好きな人もできないし、みんなは告白したり、されたりがいっぱいあるのに…私は、まだ一回もない」 「はは、そういうことか」 私の悩み事を、軽く笑い飛ばすウタくんを少し恨めしい目で見る。 そりゃ、ウタくんは身長も高くて運動もできて顔も整ってるから、こんなことなんかどうでもいいって思えるかもしれないけど。 明るい茶髪に隠れた左耳には、ピアスがついていることを私は知っている。前に、なにか願掛けをしてるって事は聞いたけど、詳しくは話してくれない。恨めしいほど、よく似合っている。 「俺が近くにいるからかもね」 「え?」 「俺と付き合ってると思われてるのかも」 「まさか!そんなわけない」 どう考えたって釣り合わない。幼なじみなのに、いつも引け目を感じていて、そんな私にも嫌気がさす。ウタくんはいつも私に対等に接してくれてるのに。 「…なんでって聞きたいけどやめとく。ましろは自分の魅力を分かってないから」 「…からかわないで、ウタくん」 「本気なのになー」 会話をしていたら、3分なんてすぐだ。教室の前で、ウタくんに手を振って別れる。 友達に挨拶をして、席について、いつも通りに学校生活を送ろうと思っていたのに。 机の中の違和感に、私は最初首を傾げるだけだった。
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