751人が本棚に入れています
本棚に追加
/291ページ
「これが仲良く見えます?」
「うん。とっても」
カウンターに肘をついて沢木は笑顔で二人を交互に見つめる。その顔はとても満足そうだ。仲が良く出来ているのかは分からないが、真白は確かにこの人以上にズバズバものを言える相手はいないと思う。なんというか、軽んじているというか…つい強く当たってしまうというか。そして柊はそれに何も思っていないのか、たまにタメ口になっても特に咎めたりしない。そこら辺本当にどうでもよさそうだ。だから一緒に過ごす時間が長くなるほど真白はつい馴れ馴れしくしてしまう。
「柊、良かったねえ」
「……」
「あれ?無視?」
「うっせ」
少し不機嫌そうな柊を見て、意味ありげに沢木が眉をあげる。
「…そんな警戒しなくても」
「沢木さん?」
「ううん、なんでもなあい。それより、朗報」
「朗報?」
「うん。…犯人が分かったかも」
瞬間、真白と柊はピタリと動きを止める。
「え…っと、それは…私に殺害予告を送ってきた犯人、ですか…?」
「うん。そう」
「えっ!?だっ、だれ___」
慌てて沢木の方に向かおうとすると、右腕が強く掴まれる。振り返れば、苦々しい顔をした柊が眉を寄せて沢木を睨んでいた。そんな柊の視線を軽々と受け止める沢木も、どこか挑発的で…真白は何が何だかよく分からない。
「…何割」
「八割」
「見え透いた嘘はやめろ。こんな短時間でそこまでの証拠が揃うかよ」
どうやらその『見つかった、かも』という言葉の予測が正しい確率を短い会話で問うたらしい。このやりとりをよくするのだろうか。沢木は柊の言葉を予測していたように思える。
「バレちゃったか。…んー、よくて六割…かな。俺的にはほぼ確実だと思ってるんだけど」
「今話せ」
「………柊」
「二人きりにはしない」
___…え?
最初のコメントを投稿しよう!