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サンタマリア
伝えられなかった言葉を幾つも幾つも抱えながら、ぽつりぽつりと歩いている。進んでいるのか、進んでいないのか、自分でもさっぱり分からない。
彼女への愛惜の情が僕の歩みを遅くさせている。それは誤魔化しようのない事実であって、取り戻すことなどできやしない甘い日々の名残りでもある。
後ろを振り返ったところで、あの日のように彼女がふわりと微笑んで、ゆるりと手を振ってくれるわけじゃない。
僕の背中が見えなくなるまで、そこに立ち尽くしていた彼女はもういない。
そう。今はすっかり肩を落とした僕の後ろ姿など、彼女ばかりじゃない。どこの誰だって気に留めてなどいないのだ。
ひとつ。またひとつと足を踏み出す度に、君への言葉が増え続ける。
あぁ、まいってしまうよ。このままじゃ、抱えて生きていける自信がない。
ひとつ。またひとつと足を踏み出す度に、君への想いが増え続ける。
あぁ、まいってしまうよ。このままじゃ、抱えて生きていける自信がない。
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