サンタマリア

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自惚れていたに違いない。僕が彼女を永遠に愛していくように、彼女もまた、永遠に僕を愛してくれるものだと……。 とんだ自惚れ野郎だと心の底から笑ってくれて構わない。 愛されていたなんてとんだ妄想だ。なんて愚かな男なの。そう罵られたって構わない。 僕は現に自惚れ野郎の妄想癖だ。だから彼女はなんにも間違っちゃいないのだ。あなたとはもうやっていけない。そう思うのが当たり前なのだ。 彼女を心底愛おしいと思う度、美しく咲き誇る花に水をやった。毎日欠かさず。そう、毎日欠かさずだ。 濡れそぼった花は揺れ、甘く情熱的に僕を惑わせた。花を愛で、時には指で、唇で、そっと雫をなぞってやった。 身体のあらゆる部分を重ね合わせてさえいたならば、僕の想いが彼女に伝わる。それこそが愛なのだ。愚かな男は本気でそう思っていた。
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