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盛大に嘆息を吐いた後、それはそれは恐ろしい勢いで迫りくる漆黒の闇を吸い込んだ。
頭の先から足の先まで、隅から隅まで染み込めばいい。永遠に忘れることなどできないように……。
伝えられなかった言葉は花弁のように風を舞い、味気ない地面の上で粉々に砕け散っていく。
僕は力なく地面に座り込み、そのまま蹲って嗚咽を上げる。みっともなくても構わない。彼女を失った今、僕に出来ることなど、これくらいしかありはしないのだ。
僕は言葉を持っていた。幾つも幾つも持っていた。溢れんばかりのこの想いを、彼女に伝える術を僕は確かに持っていた。
言葉は紡がれて初めて意味を成す。己の胸にしまっているばかりでは、妄想の花を咲かせることしかできやしない。そのことにやっと気が付いた。
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