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3、お姉ちゃん、お願い!
「お姉ちゃーん」
姉は全てを見透かしていた。
「ハイハイ、クリスマスプレゼントの事でしょ」
「何で知ってるの?」
「あなたの事なら、大体わかるって」
「どうしたら良い?もうお小遣いは全然ないし、お母さんにも頼めないし、でも、パーティーには手ぶらで行く訳には行かないし」
一気にまくし立てる私に、姉は、大丈夫、大丈夫、とうなずきながら、話を聞いていた。
「良い考えがあるのよ」
こう言う時、姉はすごく頼りになる。
「お姉ちゃんがマフラーを編んであげる」
一瞬で、視界が広がったように、世界が明るくなった。
手編みのマフラーなんて、と侮るなかれ、私の姉は、服飾系の学校に通っていて、相当のお洒落さんなのだ。私がブランド物のコートを欲しがったのも、元をたどれは姉の影響に行き着く。昔から良くミシンで、かわいくてお洒落な服などを作ってくれて、文芸部の皆も、今度、私にも何か作ってもらえない?って言ってくるぐらいなのだ。
「それは、ありがたい!お姉ちゃん、お願いします!」
しかし、私はちょっと甘かった。母との交渉に勝利して、舞い上がっていた部分も多少あったし。姉がタダで、お願いを聞いてくれる訳ではないと気づかなかった。
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