優しい朝がくる…?〜ハネムーン篇〜

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圭太はそう言って、きつく目を閉じて肩を震わせ始めると、私はそんな圭太の隣の席に移動して、両手で圭太の手を繋いだ。 「目撃者もいたから、その酔っ払いはすぐに捕まって、今もイギリスの刑務所に居ると思う。許すことはできないし、その後どうなるのかなんて、知りたくもない。でも、彼女と最後に何を話しのか、何故か覚えてないんだよ。だって、ごく普通のありふれた日常で、そんな、突然会えなくなるなんて誰が予想できた?俺が、あの頃唯一心を許すことができた女性で、優しくて包容力のある人だった。何度も、未来の話をしたよ。子供の話とか。行きたい場所とか。でも、何一つ叶えることはできなかった」 圭太の瞳に涙が溢れてくると、私も釣られて涙が溢れてきた。 「彼女はイギリス人で、ブロンドの髪が綺麗な人だった。だから、ブロンドの髪の女性を見ると、今でもどきっとする。胸が苦しくなるんだ。海外に旅行行きたかったと思うけど、そんな理由で、俺がダメだった。ごめんな。こればかりは、まだ慣れないんだ」 圭太はゆっくりと目蓋を開けると、無理に笑おうとしているけれど、なんだか引きつっている。私は、圭太の肩に寄り添って腕を絡めた。 「大丈夫。そんなことに慣れる人なんて、いない。でもね。私は、どこにも行かない。だから彼女のこと、忘れないであげて。きっと、その人も悔しかったと思うから。圭太を残して逝ってしまうこと、その人はきっと、圭太よりも無念だったと思うもの。あなたとの未来を、きっと、それはそれは楽しみにしていたと思うから」 「芹那…」 「忘れちゃダメ…。辛いと思うけど、乗り越えなきゃいけないけれど、それは忘れるっていうこととは違うのよ。だからどうか、忘れないであげて。今、ここで見た景色を、心の奥で彼女にも見せてあげるの。綺麗なものも、綺麗な場所も、たくさんの星屑も、優しい歌も。いつも、彼女のこと、思い描いてあげて」
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