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なんでそんなことを言ったのか、自分でもわからない。でも、彼女の気持ちが痛いほど伝わってきたの。
圭太のことを、愛した人。私と同じ人を、愛した人だから。
私だったら、耐えられない。圭太を残して、先に死ぬなんて辛すぎるから。圭太の泣く姿なんか見たくない。
ごめんね。
ごめんね、ケイタ。
どうか、泣かないで…。
どうか、苦しまないで…。
きっと、そう願っていたと思うから…。
私は圭太の腕にしがみつきながら泣いていると、圭太はそっと私の目の蓋を指でなぞって涙を拭ってくれた。
「ごめん。芹那を泣かすつもりじゃなかったんだけどね。でも…ありがとう」
「ううん。思い出して泣きたくなったなら、一緒にこの綺麗な景色を見ながら、彼女との楽しかった思い出、教えてくれる?私は、ちゃんと聞くから。私、聞きたいわ」
私は圭太の顔を見上げて言うと、圭太は微笑んで私の頬にそっと口付けをしてくれた。
「ありがとう」
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