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誰かを愛して、こんなに温かい気持ちになるなんて、知らなかった。
美夜のことも、シャイン(ロンドンでの恋人)のことも、全部ひっくるめて抱きしめてくれる感覚。許すとか、許さないとか、そういう感情とは違う。芹那のことを知れば知るほど、愛さずにはいられない。
早朝、ふいに目を覚ますと、隣に芹那の姿が無かった。俺はキョロキョロしながら起き上がると、バスルームに向かった。でも、シャワーの音はしない。一応バスルームのドアを開けるけれど、中にはいない。
「芹那?」
部屋のどこにも、見当たらない。もしかして、やっぱりオレの過去、重かったかな、そりゃ、重いよな…。辛いよな…。オレはそう思って床に座り込んで顔を埋めていると、ガチャガチャ…と鍵が開く音がして、部屋の入り口のドアが開いて、俺は顔を上げた。すると、芹那が現れて左手にビニール袋が下げられていた。
「あれ?起きてたの?ごめんね。もしかして、心配…」
と芹那が言いかけると、俺は一目散に立ち上がって芹那を抱きしめた。
「びっくりした…!」
「圭太?」
「…置いてけぼりかと…」
ほんと、俺は芹那といると、なんでこんな情けないことを言うんだろう。前だったら、こんなみっともないこと口にしたこともなかった。なのに、芹那には全部言えてしまう。
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