優しい朝がくる…?〜ハネムーン篇〜

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「圭太は、私の第一印象って、どんな感じだった?」 芹那が不安げに訊ねると、俺は波打ち際で足を浸してさらに芹那を引っ張った。 「大人しそうな、清純そうな女性だなって思った。何処かのお嬢様みたいだなって感じたかな」 「うん。それね。私は、被ってるから」 「被る?」 「ネコ。そういう女性を演じてたの。喋らなければ、清純な女性に見られる。そういう人に見られるように、演じてたのよ」 芹那はそう言って足が海の水に濡れると、「ひゃっ!」と声を上げた。 「そうなんだ。でもなんで?そのままの芹那を出してくれてもよかったのに」 「そう言ってくれるのは、圭太だけよ」 段々深いところに歩いていき、俺と芹那は軽く腰くらいまで水に浸りながら手を繋いでいると、芹那はオレを見上げた。 「綺麗な顔してるのに、話すと毒舌だ、とか、黙ってればいいのに、とか。ズバズバ本当のことを言うな、とか。結構言われたの。それを言われるたびに、話すのがめんどくさくなって、みんなが持ってるイメージ通りの女性でいたほうが楽だってことに気付いたの。そのかわり、妄想するのが楽しかったけど。人の話もちゃんと聞くのもバカバカしくなったし。でも、圭太はそんな私の被ってるもの。はぎ取ったのよ」 「え?俺?」
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