優しい朝がくる…?〜ハネムーン篇〜

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初めての海で、泳いで、シュノーケルを体験して、美味しいものを食べた。そして、綺麗な夕陽を見納めして、俺たちはホテルに戻った。 その日の景色を、一生忘れない。 今まで生きてきた中で、あんな綺麗な景色を見たことはなかった。 オレンジ色に染まる空。エメラルドの海にオレンジの絵具を落としたかのような、鮮やかな夕暮れ時の海辺。濡れた髪を、耳にかける仕草、横顔。ふと振り向いて、微笑んでくれる。 永遠に、時が止まってほしい。 仕事とか、生活とか、他の何もかもが煩わしく感じるほど、その一瞬が愛おしい。俺の孤独だった過去のことも、悲しみに襲われたロンドンでのことも、全部受け入れてくれた芹那。そんな芹那だって、本当は苦しんで生きていたんだ。誰も、苦労しないで生きてる人なんか、1人もいない。辛いのは、みんな同じなんだ。自分だけが、不幸だなんて思ってはいけない。改めて、そう思った。 その日の夜は、芹那も沖縄に来て初めて、いつもより乱れていた。激しく、強く求めてきて、何度も絶頂を迎えては、まだまだ終わらなかった。そんな時の芹那は、本当に艶やかだ。初めてエッチした時は、痛そうに涙ぐんで「無理…絶対無理」とか可愛いこと言ってたのに。こんなエロい芹那になるなんて。 あれ?もしかして、俺のせいか?俺が、芹那をそういう女にしちゃったのかな? 隣で寝息を立てる芹那の寝顔を見つめながら、俺はそう思うと、フッと笑った。 「じゃ、大成功ってことにしとくか」
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