優しい朝がくる…?〜ハネムーン篇〜

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芹那はそう言って顔を上げると、俺を見た。俺は芹那を見つめて、黙って聞いていた。 「彼のことを思うなら、思い出してあげてって。私が圭太に言った言葉は、その先輩の言葉よ。偉そうに言ったけど、私の言葉なんかじゃなかった。でも、私はその言葉に凄く傷ついたし、同時に凄く励まされた。言葉って、痛いんだなーって…深く突き刺さったの。他にもね、子供や、歳の近い女の子もいた。お母さんと同じくらいの年の人に娘のように思われて、仲良くなったけれど、亡くなってしまったこともあったの。その度に、毎回辛かったわ。辛くなるから、深く患者と関わるなって何度も言われる。分かってるけど、対、人なのよ。割り切ることなんか出来ないわ。でも、本当はそんな考えの人は、看護師や医師とかには向かないのかもね。そんなことで悩んで、辛かった時、圭太がいつもそばにいてくれたわ」 芹那が優しくそう言って俺を見つめた。 「美夜がさ、花を病院によく届けてただろ?その時に、ナースのこと、ちょっと話してくれたんだよ。芹那のこともね。なんか元気ない、とか、誰か亡くなったみたい、とか。そういう時、確かに芹那に夜泊りにおいでって誘ってたね。でもうちに来ても、そんな仕事のこととか愚痴とか言ったことがなかったし、俺の前ではいつもどおり冷静さを保ってたから、俺は自分から何も言わなかったんだ」
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