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美雪は枕の下から封筒を取り出すと誠吾の手を引いて山根のところまで戻った。
山根に封筒を手渡すと振り返って誠吾を同情に満ちた目で見つめる。
「可哀想な誠吾さん。その若さで不能になってしまうなんて……。気を落とさないでね。私は馬鹿にしたりしないからやけになってはダメよ」
「………………!」
完全に誤解したようだ。
誠吾が自分に勃たないのは勃起不能になってしまったせいだと。
山根が下を向いて小刻みに震えている。
笑いを堪えているのだ。
「良くなるといいのだけど…。お大事にね」
美雪に労わられながら店を出た。
驚きすぎて声も出ない。
この俺が勃起不能と思われただと…。
店を出て少し歩くと、くくくく…と隣の山根が笑いだした。
「お前………笑うなよ!」
「すみません……ははは…可笑しくて。性欲の塊みたいなボスが……可哀想がられてて」
クソっと誠吾が悔しがると山根は更に声を上げて笑った。
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