5607人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
「さ、後もう二ヶ所廻りますよ。ボスが顔出した方が話が早いので」
「お前、本当に人使い荒いよな……」
さあさあと山根に押されて誠吾はシノギ先を廻りに行った。
シノギ先廻りが終わり、迎えに来た荒井の運転する車に山根と誠吾は乗り込んだ。
「お疲れ様です」
「家は……遥は変わりなかったか?」
荒井は「あの……」と、言いにくそうに口を開く。
「遥に何かあったのか?」
「あ、いえ……その、マツさんが急に戻ってこられまして…」
マツは先日ギックリ腰になり長期療養していた黒川家に長年勤める家政婦だ。
料理も掃除もあまり得意ではないが何十年も働いているので、組長である正蔵もマツには弱い。
「マツは元気そうだったか?」
「相変わらず口が悪いと言うか……姐さんにもすごく失礼なことを言ってました…」
最初のコメントを投稿しよう!