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「ボス、そのニヤニヤするの止めてもらってもいいですか?」
「別にニヤニヤなんてしてねぇよ」
はぁと溜め息をつくと山根は懐からカードキーを取り出した。
それを黙って誠吾の前に置く。
「何だこれは?」
「うちの系列のホテルのルームキーです。たまたまスイートが空いていたみたいなので部屋を取っておきました」
誠吾の目が丸くなった。
遥とのことをあまり良く思っていないと思っていた山根からの気遣いに驚いたのだ。
「山根………お前ってやつは!」
「本家でいちゃつかれたら若い奴らが気の毒ですからね」
澄まして言う山根に誠吾は感謝した。
だがしかし………。
付き合っているとも言えない遥を、どうやってホテルに誘えばいいのだ。
下心がないと言えば嘘になるし。
あわよくば……と思っている。
遥のことを思ってこのところ女にも手を出していないので正直溜まってもいた。
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