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『すぐに出向いて追い払ったのですが…美雪さんが怯えているのでボスが顔を出してあげてはもらえませんか?』
「今からか…………」
チラリと遥の方を見る。
遥は熱があって体調が悪いのに一人でホテルに置いておくのは心配だ。
「誠吾さん、僕ならおとなしくまた寝ますからお仕事に行ってきてください」
「しかし…………」
大丈夫ですと遥は笑った。
詳しくは分からなくても誠吾の仕事が大変なものだということは遥も理解しているつもりだ。
自分が誠吾の仕事の邪魔にはなりたくない。
「じゃあ、ちょっと行って顔だけ出したら戻ってくるからいい子で寝てろよ?」
「はい。わかりました」
遥の頭を優しく撫でると誠吾は電話口の山根に「今から向かう」と告げて電話を切った。
遥は食事も摂ったしおとなしく寝ていれば熱も下がるだろう。
顔色が少し悪いのが気になるが大丈夫だから早く行って下さいという遥の声に押されて、誠吾はホテルを後にして美雪の店に向かった。
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