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第5夜
遥がその場で固まっていると目の前のガラスに突然ヒビが入った。
黒川邸の窓ガラスは防弾ガラスだったのだろう。
防弾ガラスじゃなかったら………。
ガシャンと大きな音を立てて遥の手から膳が滑り落ちた。
そのまま遥はその場に座り込む。
今になって足先から恐怖が全身を包み込んだ。
「どうした!!」
「今の音は何だ!!」
バタバタと邸内の組員が騒ぎ出した。
誠吾も自室から出て音のした方に駆け出す。
廊下に座り込む遥を発見した時、ガラスに銃弾が打ち込まれているのを確認した。
やはり二階堂の狙いは遥だ。
家の中にいても狙われるのではどうしたらいいんだ……。
「遥、大丈夫か?怪我してないか?」
「誠吾さん………すみません、僕、気がついたのに声を出すことが…できなくて…」
かたかたと震える遥の体を安心させるようにぎゅっと抱きしめた。
前回の襲撃とは違って今回は自分が狙われたのだ。
物凄く怖かったに違いない。
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