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第3夜
その日誠吾は馬車馬のように働いた。
シノギ先にトラブルがあれば出向いてあっという間に解決し、山のような書類もどんどん捌いて仕事を片付けていく。
「普段からこのくらい働いてくれたらいいのに……」
遥と出掛けるために頑張る誠吾に山根は呆れつつも驚いていた。
もともとポテンシャルの高いボスではあったが、こんなに働けるとは……。
普段は適度に力を抜いているのだなと思った。
「うるせえな。後は何だ?何すりゃ終わりだ?」
「…………今日はもういいですよ。尾崎君を待たせているんでしょう?」
終わりか?!と、嬉しそうな顔をすると誠吾は携帯を取り出して遥に電話をかけた。
遥は携帯を持っていなかったので最近持たせたのだ。
「もしもし。遥、仕事終わったぞ。迎えの車をやったから駅前で落ち合おう」
『誠吾さん、お疲れ様です。では支度をして出ますね』
遥の声も嬉しそうだ。
自分とのデートを楽しみにしていてくれたのだと思うと胸がときめく。
この俺がときめくだなんて………全く。
でも悪い気はしない。
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