5594人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
第4夜
美雪の店に向かう前に事務所に立ち寄って山根に状況報告を受ける。
美雪は歓楽街の中でも人気のスナックの女主で長年この街で店を経営してきた。
教養の高さと美貌で一介のホステスからのし上がり、ママとして店を切り盛りしている。
黒川組とは長い付き合いでみかじめ料も毎月きちんと納めてくれていたので、トラブルがあればすぐに解決してやらねばならない。
昨日、二階堂組の若頭である二階堂悟が数名の組員を連れて美雪の店に飲みに来たそうだ。
悟の顔を知っていた美雪はすぐに山根に連絡をし、山根と部下が駆けつけた時には店が荒らされた後だった。
二階堂達は着席するとすぐに接客が悪いと難癖をつけて暴れて帰ったと聞いて、誠吾は拳を握りしめた。
本家への襲撃といい、ここ最近のうちのシマを荒らす行為といい、二階堂はうちを試している。
二階堂とぶつかれば大きな抗争になると思い堪えているが、シノギ先に火の粉が降りかかるのは避けねばならない。
「美雪さん、ボスが来てくれると思っていたのに私が行ったのであからさまにガッカリしてましたよ」
最初のコメントを投稿しよう!