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エピローグ
「――――うちは美咲ちゃんより五つも上なのに、まだいい人も居ないみたいで」
母が笑いながら言う。
主役を持ち上げるために娘を落としてるのか、ただの本音なのか分からないけど、どっちでもいい。
5か月のやや膨らんだお腹の従妹と、照れ臭そうな、落ち着かない様子の旦那さん。二人とも23。
若いなあ。すごいなあ……。
なにがすごいのか謎だけど、なんとなくそう思う。
その年で、命を授かることを選んで、結婚して、偉いと思うけど、でもあたしは同じことがしたいわけじゃない。
向かいの列の端には、今日は叔母は都合が悪くて欠席ということにした徹さんが座っている。
「どなたか、お友達や先輩でいい方が居たら紹介して頂きたいくらいで」
話の内容に構わず、あたしは黙って席を立った。
ちょっとだけ、空気に緊張が走ったのを感じたけど、知らぬ顔で個室の外に出ると、後から徹さんが来た。
「今のは、ずいぶんあからさまだったな」
「あたしが?お母さんが?」
「両方、だ」
「だって、……結婚式の代わりだし、親戚付き合いで仕方ないから座ってるけど、もうほんと最悪」
「それ、俺も全く同じな」
あたしがお店の外に出ると、彼もついて来た。
「いいの?」
「まあ、何か言われたら、大人げないってたしなめてた、ということにする」
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