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2話
「早くしてください!早く!」
早くあの人の元へ行きたくて、召使いを急かす。
あの人に会える!幼い日に約束を交わしたあの人に!
早く行きたくて、準備が完全に終わってない状態で屋敷を飛び出した。
屋敷の前で待ち続け、焦った召使い達が私を追って外に出てきた。
すると、屋敷の前に一台の馬車が止まった。
あの人だ!
私は、人生最大の緊張感でその時を待った。
そして、馬車からあの人のがっしりした足が出てきた。緊張する!
そして、次に出てきたのは、杖だった。
………杖?クロードは杖なんか付かないはずだけど……?
杖が何かが前を遮ってないか確認する為に左右に振られる。杖が石畳の道に擦れてゴリゴリと音がした。
そしてやっと、クロードが馬車から出てきた。
クロードの顔は、戦場から帰っきた安堵感からか、温和な表情をしていた。
………そして、目を、瞑っていた。
私は認めたくなかった。自分が気づいている事実に。だが、認めざるを得なかった!
「お久しぶりですポーラ様」
クロードは深々とお辞儀をした。
「クロード、もしかして貴方は……!」
私は、質問しておきながら、答えてほしくなかった。それが事実なのだと決定付けられたくなかったのだ。だが、現実は非情に訪れる。
「あぁ、この目のことですか。戦場でひと悶着ありましてね。全盲になってしまったんです」
認めがたいその事実は、彼の口から告げられた。
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