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爆音とともに、わたしが見守る前でレラの放った魔力弾が昼下がりの修練場を震わせた。
木々が揺れ、羽根休めをしていた小鳥たちが雲一つない青空に慌てて飛び立っていく。
標的になっているわら人形が根元からぽっきり折れるのを見て、わたしは自分のことのように嬉しくて思わず手を叩いた。
威力も照準も申し分なかった。レラはこの課題をきっと合格で通過しただろう。
監督官も満足そうに一つ頷くと、手にした羊皮紙に書き物をした。手の動きからすると……うん、丸だ!
「おめでとう、レラ!」
杖を手に、すこし恥ずかしそうにはにかみながら、黒髪を揺らして歩いてくるレラを、同期のメンバーと一緒に強く手を叩いて祝福する。
「ありがとう、みんな」
夢に一歩前進したレラの目はすこし潤んでいた。
わたしも負けてられないな! 嬉しそうなレラに勇気づけられて、拳をぎゅっと握る。
気合いを再注入して今か今かと出番を待っていると、金髪の女友達がわたしの前に立ちはだかった。
「ユウカさん」
「……なに、ヒルダ?」
わたしの頭一つ上にあるヒルダの不敵な笑みを見上げて、わたしは声をひそめた。
わたしのライバルを自称するヒルダは、目前に控えた試験なんて忘れてるんじゃないかと疑うくらい堂々と胸を張って余裕の笑みを浮かべる。
「たしかに筆記ではあなたに負け、次席に甘んじました。けど、この実技ではそうはいかないわよ? 第十三期サンノワール魔法アカデミー首席の座は、このドリス家長女ヒルダ・ドリスが頂戴します。ですから――」
そして、芝居がかった仕草でわたしに指先をびしっと突き付けてくる。
「勝負よ、ユウカ・ランファール!」
修練場に響き渡る宣戦布告に、観客席に座る後輩たちがわっと歓声をあげる。まるで決闘のワンシーンのようだ。でも――。
なんでそーなるのよ……。
首席の座にまるで興味のないわたしは脱力して肩を落とし、好きにして……と投げ遣りにため息をつくのだった。
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