逢瀬の前

7/7
41人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
機械から流れる「ピーーーー」という雑音。 泣き崩れる、颯輝の両親。 心を覆う罪悪感。 美鈴には、分かっていた結末。 出逢った意味… 現実になって目の前に映る病室が、まるで映画のワンシーンのように焼きついた。 こんな幼い時期に出会って、終わりを迎えるなんて、今までの前世にはなかったのに… もう、出逢いたくない。 自分と出逢って、何度も散っていくなら、もう会いたくないよ。 今度出会うときは、うんと年齢を離して、彼と心を通わさず、通り過ぎるだけの存在でいたい。 もう、悲しい想いはたくさんだ。 見た目は子供でも、美鈴の心はいつでも、結末を見た後は、前世のころと同じ、大人びた心のまま、体だけが成長していくのを待つだけだった。
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!