僕は大いなる尊敬者であり大いなる軽蔑者だ!

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 僕は中でも如何にも若い頃から男に持てなくて苦労して来たんだよと言わんばかりの太った恰幅の良い二重顎の怖そうな小母さんに妬まれ、毎日、小言を言われ、気に入られなかったが、或る日、僕はこの小母さんに露骨に嫉妬心を剝き出しにされ、「まあ、何て綺麗な手なんだね。まるで女の子みたいだねえ。」と自分の手についてシニカルに評されたので、「確かに男なのに全然、毛が生えてなくて妙に薄っぺらくて指のか細い生白い優しい手だなあ。」と恥ずかしくなり、爾来、自分の手にコンプレックスを抱くようになった。
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