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優里(ゆうり)
情けない事にステージ最終日に倒れた俺を自宅まで運んでくれて、一晩中、俺の看病をしてくれたのは武尊(たける)と言う名の後輩だった。
まだ、CDデビューもしてない俺たちのライブのバックに付いてくれてる後輩たちの1人だ。
実を言うとその武尊がそう言う目で見ていることを俺は知っていた。
ま、同族だから…かな?
武尊を見ていて、俺もあんな目で青藍の事を見ているのか、と自身を振り返ったりもしていた。
あんな目で見ていたら、いつか必ず誰かに気付かれる、って自覚はあったからな。
だからあの日、俺は武尊を利用した。
武尊にはマジ悪い事をしたって自覚はある。
そう思うからこそ、武尊の事は大事にしてやろうと思ってる。
武尊をバックハグしながら耳にキスしてやった。
「武尊?」
「あ。はい。僕の名前、知っててくれたんですね」
「ああ、そりゃ俺らのファーストコンサートからバックに付いてくれてるんだ。覚えてるさ」
「か、感激です。僕らみたいなバックダンサーなんて優里さんたちには目にも入ってないもんだと…」
「お前、俺らのこと、そんな奴だと思ってた訳?」
「えっ?あ、いや、そう言う意味じゃ無くて…。あの、その…」
「ははっ、ジョーダンだよ。んな事ないってくらい分かってんよ」
「武尊…。お前がいつも俺のこと見てんのもな」
「っっっ!!!」
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