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――二十九日。
ふいに、脳裏に響いた。謎の二十九日という言葉。思わず、一度だけ目をあけた。しかし、眼前の景色に変化はない。
「二十九……」
二十九日とは何を示すのだろうか。二十九日後? 二十九日前? 二十九日間?
考えても無駄だ。分からないことだらけだ。
気が付くと、東の空が白けてきた。太陽は徐々に高くなり、やがて真上を通り越した。
校庭から、掛け声が聴こえてくる。部活か何かで、人がいるのだろう。しかし、屋上には誰も来ない。十年前は屋上は立ち入り禁止となっていたが、もしかしたら十年経った今でも、そうなのかもしれない。
「……またいるし」
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