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ベッドの横に飾られた花瓶に咲く花が、ボトッと落下した。
不吉すぎる。でも、少なくとも僕はこの花よりかは長生きできた。これでまた一つ、生きた証を自分の胸に刻むことができたのだ。
いつからか、世界から僕は隔離された。この病室は既に天国……いや、地獄である。身体だけが生きている。心は既に、死んでいる。
あぁ、早く死なないかな……。
手が動くのであれば、今すぐにでも、この身体にまとわりつく邪魔なゴミを取り除いて、ありのままの姿で死んでやるのに。
僕の人生はあっけない。
発病する前は、真っ直ぐすぎるほどの正義感の持ち主で、やたらとお節介だった。困っている人を見かけたら、すぐに助けてしまう。そんな少年。
それが今ではすっかりネガティブ思考になってしまった。この状況でポジティブになれというのは、どんなに元がポジティブな人でも不可能だろう。
――寒いなぁ。
身体が、心が、凍えるように冷え切っている。このままでは、心臓が止まる前に凍え死んでしまうかもしれない。
僕は想い出の中にある、温もりを求めて目をつぶった。
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