4杯目

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友梨佳なんて名前、ホント似合わない。 ソバカスだか、シミだか増えてきた顔を鏡に映しながら、 マジマジと自分のすっぴんを眺めた。 親友の花陽が結婚することになり、 式場回りに付き合うことになった。 在宅でイラストを書いている私にとって、昼間出かけるのはやや苦痛である。 それに、私は花陽の幸せな姿を見るのは、決して喜べるものではない。 なぜなら、私は性同一性障害だからだ。 それは誰にも話してはいない。 親にも友達にもだ。 そのことに気がついたのは、小学校4年生の夏だった。 女子といるより男の友達とつるむことを好み、足が早く、ケンカが強かった。 だけど、成長して行く身体は男として活動することを咎めるように邪魔をした。 胸は大きく膨らみ、腰骨も様相を変えた。 明らかに周りの男の友人たちと違っていった。
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