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「ちょっと友梨花聞いてよ!
あの人ったらさあ」
花陽は相変わらずだ。
先週、産休に入り会社に行かなくなって、暇つぶしにやって来る。
大きなお腹なのに、
荷物を抱えてほぼ毎日。
「産休なんだから家で休んでたらいいのに」
「だって、入れてあげたいから」
「え?」
「私のロシアンミルクティ、
友梨佳に入れてあげたいから」
ドキリとした。
「私のため?」
「なんてねー、それは口実ーっ、
暇なんだもん」
へろりと舌を出して、
ケラケラと笑った。
「しょうがないね」
全く、この女は。
苺の香りに包まれながら、
白旗をあげる。
多分一生、
私はこうやって花陽に振り回されるのかもしれない。
それは少しだけいちご色に色づいた、
このミルクティのごとく、
私の心に染み込んでいく。
4杯目 END,
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