1杯目

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からん…… 足元にころがる空缶が音を立てる。 顔を上げると、 見慣れた顔が。 「何やってんの?」 「誠司……」 「まさかここで夜明かしってことはないだろう? どこ行ってたの?」 「どこだっていいでしょ?」 「ばか。いいわけないだろうが、 部屋から、突然飛び出して、 連絡はつかないし、 職場に電話したら体調不良で帰ったっていうし、 どっかで倒れてんじゃないかって心配するだろ?」 「心配してる? 浮気者が何言ってんの?」 「浮気?」 「電話で話してるの聞いちゃったもの、 浮気してるんじゃない。 愛してるって言ってた」 「は?なんだよそれ」 「しらばっくれたって駄目よ。 この耳で聞いたんだから!!」
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