歓迎

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歓迎

どこからともなく突然飛来したその宇宙船は、都市の郊外にある大きな野原へと着陸した。 中から何人かの宇宙人が地球の地へと降り立った。 彼らはキラキラとしたまるでスーツのような服を着用しており、その動き方からどこか紳士的な雰囲気を感じた。 もちろん人々は彼らの姿を見て大騒ぎし、すぐに政府から役人たちが派遣された。 政府から派遣された役人たちは、すぐに彼らとなんらかのコミュニケーションを取ろうと考えたが、言葉が通じず、諦めた。 「やってきた彼らに、我々はどう対応したらいいんだ」 「とりあえず、手厚く歓迎しよう。 彼らの乗ってきた乗り物を見る限り、とても大きな科学力を持っているようだ。 機嫌を損ねでもしてみろ、我々を滅ぼしてしまうかもしれない」 すぐに地球では宇宙人たちの為に、豪華絢爛な歓迎パレードが企画された。 地球の群衆たちが歓声をあげる道路の真ん中を、宇宙人たちを乗せた自動車が走るのだ。 政府から任命された係りの者が宇宙人たちを高級車へと案内する。 しかしその時、宇宙人のうちの一人が、小さなペットのような生き物を肩の上に乗せているのが係りの者の目には見えた。 そのペットはイモムシのような体をしており、目は一つ、鼻はなく、口も一つの非常に醜い見た目をしていた。 「……うげぇ。 ペット選びのセンスは最悪だな……」 そのあまりの醜さに周りの人間達は顔をしかめたが宇宙人達の手前、すぐに笑顔を取り繕った。 そしてその後パレードが行われ、人々は高級車の上に立っている宇宙人達に歓声を浴びせた。 だが、肩の上に乗っている醜い生物を見た途端、誰もが歓声の声を一時的に飲み込み、顔をしかめてはいたが。 そして一行を乗せた車は超高級ホテルへと到着し、彼らには最高級の料理、酒が振舞われた。 だがその時、コックたちは肩の上に乗っている醜いペットに困惑した。 「この生物には一体何を与えればいいんだ?」 「そうだな。 とりあえず最高級のドッグフードでも与えてみるか」 そのコック長の言葉にみなは頷き、最高級ドッグフードがペットには振舞われた。 最高級の料理を振舞われ、宇宙人達はどうやら満足しているようだった。 フォークとナイフの使い方が分からないのか、手掴みで料理をムシャムシャと平らげ、満足げに笑っている。 やがて言葉を覚えたのか、たまに 「ウマイ」や、「オモシロイ」などといった言葉を話し始めた。 その様子を見て政府の人間達は安心し、ご機嫌の様子な宇宙人に対してインタビューを行うことにした。 各方面のマスコミが会見場へと集められ、その様子は大々的にテレビでも中継される。 「これは凄いことになったぞ。 宇宙人から話を聞くことが出来るなど、まさに前代未聞のことだ」 「ああ、このインタビューを経て、我々人類はさらに高度な知識を手にいれることができるだろう」 集められた記者達はそう期待し、宇宙人が会見場にやってくるのを今か今かと待っていた。 やがて会見時間となり、代表者として一人の宇宙人が会見場に現れ、マイクを持って席に座った。 その肩に、あの醜いペットが乗っていることに人々は少し不快に思ったが、すぐに笑顔を取り繕った。 会見の司会がマイクを握り、進行を始める。 「それでは、これよりインタビューを始めさせて頂きます。 それでは質問のあるマスコミの方は挙手してください」 全ての記者達が私が、私が先だと言わんばかりに争って手を挙げる中、当てられた一人の新聞記者が宇宙人に向かって尋ねた。 「今日1日、ご覧になった地球のご感想をお聞かせ下さい」 するとその質問を受けた宇宙人は、持っていたマイクの先を肩にいたペットへと向けた。 そしてそのペットは地球人顔負けの流暢な言語で話し始める。 「全く、酷い星だ。 せっかく貴様ら猿に高度な技術を授けてやろうと遥々銀河の彼方から来てやったというのに、 ()に対する、非礼の数々。 特に、ホテルで出されたあの料理だ。 この余を乗せている奴隷には高級料理を振る舞う癖に、主人である余には不味い料理を出しおって。 もう許さぬ。 今すぐ母星から仲間達を呼び寄せ、こんな星は今すぐ滅ぼしてくれるわ………………………………」
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