同じく、気に入らないんですけど!

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「赤くなってる…痛いな?ごめんな?」 ソファに誘導されて座ると、真は優しく頬に触れた。 「真の所為じゃないわ。喧嘩を売ったのは私。勝手に決めてごめんなさい。」 謝ると真はぎゅっと水菜を抱きしめた。 「謝るな。頼もしかった。鉄の心臓だった。かっこよかった…惚れ直した。」 耳元で言われて、水菜は少し涙ぐむ。 「悔しかった…あんな風に言われて…。不安もあった。真が……好きな人だったらどうしようって…。」 泣き出した水菜の身体を離し、頬を優しく撫でた。 「絶対にない!水菜だけだよ?」 「うん、信じる。でね?もう一つお願いがあるの。」 「なに?」 「沢田さん、挑発しちゃったし…真の事、誘惑するかも…。負けないでね?フラフラしないでね?誘惑…されないでね?」 話しながらどんどん涙が溢れて来る。 「されない!フラフラもしない。水菜が嫌な事は…約束だ!水菜?ありがとう会社を大事に思ってくれて。俺を信じてくれて。俺は人の気持ちに鈍いけど水菜を思う気持ちは変わんないぞ?」 「鈍いよね……。女心が分かんないよね?モテるのにね?」 くすくすと水菜の笑い声が真の耳元で聴こえて、真は水菜の赤い頬に唇を付けた。 「あ!失礼!」 幸人が開けたドアを閉めようとする。 「アホか!早く持って来い!痛いだろ!」 「あぁ、だってお邪魔かと思ったからさ。」 幸人からタオルと氷の入った袋を奪い取ると、真は手でシッシッと幸人を遠ざけた。
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