もう一度…。

3/5
前へ
/161ページ
次へ
高橋と倉田の結婚式は無事に進み、披露宴を残すのみになった。 小さな子供がいる水菜はここで失礼する事になっていて、真も後を幸人に任せて会社に戻る予定だ。 家族で二人の控え室に顔を出した。 「悪いな?社長なのに披露宴出れなくて…。」 (珍しく真がまともな事を言う…。) と、思いながら水菜も二人にお祝いの言葉を伝えた。 「社長がこういうところ苦手なのは知っていますし、ご自分の結婚式も披露宴はしなかったでしょう?会社も、全員出席とはいかないですし、忙しいのに申し訳ないです。挙式だけでも参列して下さってありがとうございました。」 高橋が頭を下げると、横にいる倉田も同じ様に頭を下げた。 早々に失礼して、式場を後にする。 「よし!海、チャイルドシート完璧!空も真夏も大丈夫か?水菜?出るよ?」 子供達を車に乗せていた真が、式場を振り返る水菜に言う。 「どうした?」 「ん?あの二人、ちゃんと夫婦に見えたなって思って…。不思議ね…人の出逢いって何処でどう繋がるか分からない。高橋さんが入社した時、私はいなかったわ。倉田さんは入社時には彼氏がいた。「縁」って不思議ね?良い出会いもあれば嫌な出会いもある。でも…嫌な出会いも良い物に変えられたら良いわよね?」 振り向いて真に笑顔を向ける。 「……ちょっと待て水菜。それさ?俺との出会いは嫌だったって事か?」 「そんな事言ってませんよ?」 助手席に乗っている空を見てから後ろに乗り込む。 「言ってるよな?今、俺に向かって言ったよな?」 運転席に乗り込んで後ろを振り向いて言う。 「言ってない!はい!出す!安全運転でレッツゴー!!」 「れっつごー!」 空にも言われて渋々、真は車を発進させた。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2098人が本棚に入れています
本棚に追加