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高橋と倉田の結婚式は無事に進み、披露宴を残すのみになった。
小さな子供がいる水菜はここで失礼する事になっていて、真も後を幸人に任せて会社に戻る予定だ。
家族で二人の控え室に顔を出した。
「悪いな?社長なのに披露宴出れなくて…。」
(珍しく真がまともな事を言う…。)
と、思いながら水菜も二人にお祝いの言葉を伝えた。
「社長がこういうところ苦手なのは知っていますし、ご自分の結婚式も披露宴はしなかったでしょう?会社も、全員出席とはいかないですし、忙しいのに申し訳ないです。挙式だけでも参列して下さってありがとうございました。」
高橋が頭を下げると、横にいる倉田も同じ様に頭を下げた。
早々に失礼して、式場を後にする。
「よし!海、チャイルドシート完璧!空も真夏も大丈夫か?水菜?出るよ?」
子供達を車に乗せていた真が、式場を振り返る水菜に言う。
「どうした?」
「ん?あの二人、ちゃんと夫婦に見えたなって思って…。不思議ね…人の出逢いって何処でどう繋がるか分からない。高橋さんが入社した時、私はいなかったわ。倉田さんは入社時には彼氏がいた。「縁」って不思議ね?良い出会いもあれば嫌な出会いもある。でも…嫌な出会いも良い物に変えられたら良いわよね?」
振り向いて真に笑顔を向ける。
「……ちょっと待て水菜。それさ?俺との出会いは嫌だったって事か?」
「そんな事言ってませんよ?」
助手席に乗っている空を見てから後ろに乗り込む。
「言ってるよな?今、俺に向かって言ったよな?」
運転席に乗り込んで後ろを振り向いて言う。
「言ってない!はい!出す!安全運転でレッツゴー!!」
「れっつごー!」
空にも言われて渋々、真は車を発進させた。
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