もう一度…。

4/5
前へ
/161ページ
次へ
エターナルエモーションに到着して、賑やかに警備室前を通る。 真が空を横に歩かせて、海のベビーカーを押しながら会釈をして通過する。 「こんにちは!今日、会社の人の結婚式で、これ、お祝いのお裾分けです。ケーキなんですけど甘い物平気ですか?」 後ろで水菜の声が聞こえて真は振り返った。 (いつの間に…。) 少し話をして、失礼しますと会釈して前抱っこしている真夏に声を掛けながら、水菜は真の横に来る。 同時にエレベーターが開いた。 乗り込みドアが閉まってから聞いた。 「いつの間にケーキ?」 「式場の一階に喫茶室あったでしょ?あそこでね、美味しそうだった。ショーケースに並んでたわよ?帰りに取りに来るからって頼んでおいたの。あ、ベビーカーの下にも入ってるからそっと動かしてね?」 それを聞いてドキッとしてベビーカーの下を覗く。 「これ?いつの間に…。ていうか…誰に?」 「お休み返上でシステムを見張ってる人もいるでしょ?式に参加したかった人もいるし、交代で披露宴に行く人もいるわよね。沢田さんもね?アメリカは日曜日関係ないから…。」 エレベーターが止まり、真はさっきより慎重にベビーカーを動かした。 「お疲れ様です!お祝いのケーキです。休憩室の冷蔵庫に入れておきますから好きな時に食べて下さいね。一人一個限定でお願いします!」 「お疲れ様です!ありがとうございます!」 水菜の周りに残っているフロアの人間が集まる。 真はそれを横目に階段を上がって行く。 ベビーカーに乗せた海ごと持ち上げて階段を上がり、空と社長室に入った。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2098人が本棚に入れています
本棚に追加