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エターナルエモーションに到着して、賑やかに警備室前を通る。
真が空を横に歩かせて、海のベビーカーを押しながら会釈をして通過する。
「こんにちは!今日、会社の人の結婚式で、これ、お祝いのお裾分けです。ケーキなんですけど甘い物平気ですか?」
後ろで水菜の声が聞こえて真は振り返った。
(いつの間に…。)
少し話をして、失礼しますと会釈して前抱っこしている真夏に声を掛けながら、水菜は真の横に来る。
同時にエレベーターが開いた。
乗り込みドアが閉まってから聞いた。
「いつの間にケーキ?」
「式場の一階に喫茶室あったでしょ?あそこでね、美味しそうだった。ショーケースに並んでたわよ?帰りに取りに来るからって頼んでおいたの。あ、ベビーカーの下にも入ってるからそっと動かしてね?」
それを聞いてドキッとしてベビーカーの下を覗く。
「これ?いつの間に…。ていうか…誰に?」
「お休み返上でシステムを見張ってる人もいるでしょ?式に参加したかった人もいるし、交代で披露宴に行く人もいるわよね。沢田さんもね?アメリカは日曜日関係ないから…。」
エレベーターが止まり、真はさっきより慎重にベビーカーを動かした。
「お疲れ様です!お祝いのケーキです。休憩室の冷蔵庫に入れておきますから好きな時に食べて下さいね。一人一個限定でお願いします!」
「お疲れ様です!ありがとうございます!」
水菜の周りに残っているフロアの人間が集まる。
真はそれを横目に階段を上がって行く。
ベビーカーに乗せた海ごと持ち上げて階段を上がり、空と社長室に入った。
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