秘書ですから。

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「止めろ、マリン!」 真が手でマリンを押すが、触る形となり水菜の目が細くなる。 「昔のご友人でしたら社長が対応されて下さい。私は秘書ですから。失礼致します。」 ーーーバン!! と、大きな音でドアを閉めて出て行ってしまった。 「みず、水菜ー!!おい、マリン!離れろ!」 「何で?」 「何でじゃねぇ!俺の奥さんだぞ!奥さんの前でお前…。」 がっくりと肩を落とす。 「奥さん?真、結婚したの?あの真が?嘘でしょ?」 金髪美女は信じられない顔を向けて訊き返した。 「……したの。俺が、女面倒くさいって言ってた俺が結婚したの!!もう7年になる!何で今頃くんだよ!マリン!!」 「ええぇ〜?だってぇ〜。真が困ったらいつでも来ていいぞって言ったんじゃない。結婚してるなんて知らないもの。」 「……はぁ。まぁ、話せば分かると思うけど…で?マリンはなんで急に来たわけ?なんかあるんだろ?」 「聞いてくれるの?優しいとこは変わってないわ。」 マリンは上機嫌で話し始めた。 ため息を吐きながら真はそれを聞いた。 沢田マリン、父親は日本人で母親が米国人。 セフレの中でもひときわ美女でゴージャスボディの持ち主。 母親が再婚してアメリカに行くのをキッカケに別れたが、そこはお互いに割り切った関係で納得の上の綺麗な別れだった。 さっぱりとした性格もあって、人を入れない真の部屋にも泊めた事がある程、気が合っていた相手だった。 水菜と出会う少し前の話だ。 「はぁ?離婚?マリン…結婚したのか?」 「向こうでね?いくつだと思ってるの?私、これでも35よ?」 くすくす笑いながらマリンが言うと真もそうかと納得した。 「そうか…そうだな。俺も36かぁ……。」 (36にもなって奥さんの前で……) はぁぁぁぁぁぁ……とため息を吐いた。
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