自由時間

4/6

2078人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
社長室のドアが勢いよくバン!!と開く。 「おわ!何だぁ!!」 水菜も驚いて振り返ると梨香が入って来て、後ろに立花の姿も見えた。 梨香はツカツカと真の机の前に行き、バン!!と両手を机に叩きつけた。 「おわっ!何だ!何だ!俺はなんにもしてないぞ!」 いつもの梨香の必殺技に怯んだ真が、座っている椅子を後ろへ少し下げて言う。 「何かしたなんて言ってないじゃない!ね、今日は仕事なしで18時まで幸人とここでゲームする予定って本当?」 と梨香は笑顔で聞いた。 「……本当だけど?簡単に二人で暇を見つけて作ってたゲームな?今、水菜にも話していた所だけど…。」 梨香は水菜の横に立ち、水菜の腕を取り腕を組む。 笑顔で水菜を見て、真の方に顔を向けた。 「あのね?上の子供達ここに連れてくる。夕ご飯は出前にしてくれる?梨奈いるから子供の面倒見るのは手伝ってくれるし、着替えとかお菓子とかいる物は全部持って来るから。寝たら真のプライベートルームに寝かせてくれればいいわ。お迎えには来るから、そしたら一緒に帰ろ。」 突然の梨香の言葉に意味が分からない真と水菜は、ポカーンとして聞いていた。 「……え?待て待て!どういう事だ。」 「だからぁ…あんたと幸人は時々飲み会とかしてるでしょ?二人で飲みにも行ってる。私と水菜もたまには子供を気にせずに遊びに行きたいと言っているの!今日は仕事なし、ここで二人でゲーム。じゃあ、5時に子供達ここへ連れてくるから三時間位いいよね?自分の子の面倒位みるよね?」 笑顔で言われて停止した。 ギギッと音がしそうな動きで首を幸人の方向に向ける。 「…幸人?」 「まぁ……了承した。たまには梨香も自由時間が欲しいというし、まぁ、そうだよなと…。」 幸人に言われて考える。 (……確かに。家事に仕事。俺のサポート。そうだよなぁ。) ここでまた反省する。 「分かった!良いよ。三時間な?飲みに行くのか?どこ行くんだ?」 深い意味はなく何となく聞いただけだったが、梨香は舌を出した。 「教えない〜!今日はね、私と水菜がどの位女性として魅力があるかを確認に行くの。旦那が来たら邪魔だからね。」 「は?ちょっと待てぃ!確認てどういう事だ!!」 目くじらを立てて梨香に向かって真は指を刺す。 「お洒落していい女がいたら声を掛けられるでしょ?その確認よ。大丈夫、断るから…ちゃんと。いい男だったら一緒にお酒飲むだけでも楽しいと思うし…。」 梨香が言うと真が文句を言い出すが、幸人に口を塞がれた。 「たまには楽しんでおいで。」 「はぁい、じゃあ家事と準備しに戻るね?4時過ぎには子供達連れて来るから…水菜も行こう!洗濯物とか取り込むでしょ?」 梨香に腕を組まれたまま引っ張られる。 「え?……じゃあ…いってきます〜!」 不満そうな真の顔を見ながら水菜は部屋を出て行った。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2078人が本棚に入れています
本棚に追加