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「下請け扱いされてんだし、頼まれた仕事はちゃんとやった。あいつが来なくてもいいのに勝手に来るんだから放っておけばいい。佐藤も同席して社長は忙しくて外だとか、上手い事言っておけ。それと間違えてもフロアには入れるなよ?あいつはシステム泥棒の前科があるんだからな?見張っておけよ!」
ビシッと指を差しながら真が言うと、倉田が冷静な声を出す。
「それは未遂だったと聞いております。万が一、ベターの社員の耳に入ったらいい気持ちはしませんので、その様な発言はお控え下さい。」
チッ…と真は舌打ちをしてから倉田を見る。
「倉田はいなかっただろ?未遂だろうが考えたことが問題なんだよ。」
「それはその通りですが、他社の社長ですので…。石原から終わった事と聞いております。では、社長は不在という事でお話を通します。これで失礼致します。」
頭を下げて倉田が先を歩いて行くと、佐藤も慌てて頭を下げて後について行く。
二人に軽く会釈をして、水菜はその場に残っていた。
「……水菜?どうかした?」
「社長に少しお話が…。お時間、宜しいでしょうか?」
「んー?いいよ?梨香の事か?来年4月から室長降りたいって話し?それなら降ろさないし継続で働き方改革を考え中で…。」
真が話をしている途中で水菜はそれを止めた。
「いえ!その事ではなく…。」
「…ん?違うのか?じゃあ……水菜まで会社辞めるとか言わないだろ?」
笑いながら真は言ったが、水菜からは予想外の言葉が返って来て絶句した。
「……当たらずとも遠からず…と言った所でしょうか。」
にっこりと微笑んで水菜は答えていた。
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