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ガタッ!!
椅子を大きく後ろへ押しやり、真は席を立った。
その場に停止したまま水菜の顔を見つめた。
「………水菜?いや……子供達もいるし、家事も大変だろうから辞めたいならそれでもいいけどさ。少し考えないか?水菜がいると凄く俺も助かるし、ずっと一緒に仕事して来たんだし、辞めなくてもさ。家に人がいるのは落ち着かないって知ってるけど、週に3日、掃除と買い物だけお手伝いを雇って、掃除の負担だけでも減ったら楽になると思うんだ。そ、相談しよう!な?」
クスッと笑い、真の情けない顔を水菜は見てから口を開いた。
「自分も手伝うって言わない所が真らしいわね?」
「…風呂掃除とゴミ捨て位なら。リビングの掃除も出来るぞ?日曜日のチャーハンかラーメンなら作る!」
必死な顔で言うのを見てクスクスと笑う。
「出来ない事を安易に口に出す人より、私は素直な真のそういうとこ好きよ?
チャーハンでもラーメンでも嬉しい。でもそういう話じゃないの。今、私沢田さんの上司になっているでしょ?」
少し困った顔で水菜が話すので、沢田何かしたのかと、真は机から外へ回り水菜の横に行く。
「沢田、何か言ったのか?まだ水菜に嫌がらせか何か…。」
水菜の手を握り心配そうな顔を向けた。
「違うわよ?上司という事で相談を受けたの。……ん、相談というより決定事項の報告かな?」
「…決定事項の報告?」
そこまで聞いて机を回り自分の椅子に座り直す。
両手を机の上で組んで社長らしい声を出した。
「分かる様に話してくれ。」
「はい。申し訳ありませんでした。実は沢田から年内で会社を辞めて、年明けにはアメリカに戻ろうと考えていると報告されまして…ミーティングルームで1時間ほど話を詳しく聞きました。」
ギッと椅子の背もたれに身体を預けて、真はそれで?と訊き返した。
この間、飲みに行った際の沢田の事情を説明して、自分は辞める事を了承したと水菜は話した。
「……そこで、現在順調にいっているフロア統括マネージャーですが、沢田の代わりに私が就任しようと考えています。」
「えっ!?」
真の体が固まった。
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