秋から冬へ

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「ピーピー」 『はい!』 「お疲れ様!昼にして!午後の会議、13時を14時にしてくれる?」 『変更ですか?えっと………。』 「対応遅いよ?また練習だな。今日の会議は変更、よろしく。」 通話を切り、鼻歌を歌いながら真は水菜が来るのを待った。 「変更ですか?えっと……」 急な変更を言われて、通信機を押しながら佐藤は片手で机の上のスケジュール帳を見ようとして、他の資料をバサバサと落とした。 『対応遅いよ?また練習だな。今日の会議は変更、よろしく。』 オタオタしている間に社長に通話を切られてしまう。 その様子を横で見ていた水菜が笑顔を向けて佐藤に言う。 「朝の段階で1日のスケジュール確認は終えているのだから、社長も変更可能と判断して言っているのよ。しかも社内会議でしょ。これが他社との打ち合わせだともっと大変だけど、社内会議なら変更は可能よ。先ずはピーピー鳴らされても動じない事ね?」 「社長はせっかちさんですからね。直ぐ通話は切られますけど無理なら後で言えば問題ないですよ。」 笑顔で倉田も佐藤をフォローした。 「えっ……と、社内会議だから参加する方にメールで連絡して、社長に14時変更出来ましたの報告、で良いですか?」 不安な様で水菜の方を見て確認しながら佐藤は聞いた。 「社内会議がある事はみんな知っているから、社内メールでいいわ。全体会議の場合は営業も参加するからその時は個人の携帯にも一斉送信ね。」 「パソコンに向き合ってる人間ばかりですからね。メールを見ないって事は先ずないです。あ…たまにありますね?」 倉田が笑いながら話して水菜の顔を見た。 「あるわね?秘書は会議室の準備も事前にするでしょ?みんな早めに来るから、10分前に来ない人には直接電話を入れてね。念の為にね。」 水菜が言うと、佐藤はメモを取りながら聞いていた。 苦笑しながら水菜はその様子を見て言う。 「メール書いてね。本日の社内会議、13時を14時に変更。自分の名前もちゃんと入れて送信してね。」 「あ、はい!直ぐに!!」 「それが終わったら休憩にして。社長への報告はしておくわ。今日のところはね?」 笑顔で言い、お疲れ様と付け足して水菜は階段を上がって行った。
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