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「水菜、いつも美味そうに食べてたし、水菜は変なアピールもない、例え俺が水菜を怒らせる事をしても俺が憎い相手でも、水菜は信用出来る。それに俺はあの時すでに水菜が好きだったから、どんなに不味くても水菜が作った物なら全部食べるつもりでいた。」
「不味かった?あの時のお弁当。緊張したのよ?普段、料亭のお弁当を食べてる人に私の貧乏弁当を食べさせるなんて…。」
「ちょー旨かった!!これも美味い!水菜のさ、このちょっと失敗した感、いいんだよなぁ。」
言いながら、少し焦げた卵焼きを真は口に入れる。
「卵焼きは失敗じゃないわよ!ちょっと焦げてるだけでしょ?」
膨れて言いながら、水菜もおかずを口に入れた。
「なぁ、水菜はいつから俺の事好き?」
「はぁ?」
急に何を言い出したのと、目を丸くして横に座る真を見つめた。
「沢田にさ、言われたんだよ。俺も…。未だに真が結婚出来たなんて信じられない、同情で結婚してもらったんじゃないのって。言われたらさ、水菜と俺の出会いって水菜にとっては最悪だろ?一緒に暮らすのも無理矢理だったし、なし崩しで結婚した様な気もするんだよな?まぁ、水菜は流されて結婚する人間じゃないけどさ。だからいつから好きなのかなぁって…。」
真が話す間、水菜は下を向いて考え込んでいた。
それをジッと見て、真は情けない声を出す。
「水菜ぁ〜。そんなに悩むほど難しいのか?」
「違うわよ?」
くすくす笑いながら、真の顔を見る。
「同居の前にちゃんと言ったでしょ?真の部屋に他の人の物があるの気に入らない位好きだったわよ?あれが自覚かな?でも好きになったのはじわじわだと思う。ゆっくり、真の言葉や態度のひとつひとつがゆっくり…心に落ちて来た感じかな。……来年から秘書ではなくなるけど、ずっと真の事、サポートして行きたい。だから…よろしくお願いします!」
頭をぺこんと下げて水菜が言うと、
「こちらこそ!不束者ですがよろしくお願いします!」
と、真も頭を下げた。
「ぷっ……ふふ、何してるって思われちゃうわね?」
「だな?食べよ!」
二人で目を合わせてくすくす笑い、お弁当をまた食べ始めた。
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