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「えっ?真?何か変な事言った?………真?」
無反応を不思議に思っているとミーティングルームの前の廊下が騒がしい。
ドタバタ足音がして、ミーティングルームのドアが大きな音を立てて開いた。
「バン!!!」
「きゃぁ!!何?」
同時に真が入って来て、水菜は驚いて声を上げて停止してしまった。
「み〜ず〜なぁぁぁ!」
「……なに?怖い怖い…真…。」
近寄る真に向かい警戒しながら言うと、ノーパソをそのまま閉じられる。
「えっ?ちょ…ちょっと…?」
資料やファイルもノーパソの上に載せられて、真はそれを片手に持つ。
水菜の手を引いてぎゅっと握ると、椅子から強引に立たせて引っ張って行く。
「え。ちょっと…真?何?何事?」
手を繋がれたまま社長室まで連れて行かれた。
「はい!ここ座る。」
真の社長室の大きな机の端に、真の椅子を置かれて座らされる。
「明日には俺のと同じ椅子が配達されるから、今日はそれで我慢な?」
笑顔で言われて水菜はきょとんとする。
「え?ここで仕事しろって言うの?」
驚いて大きな声になると真は大きく頷く。
「え、無理!ここ社長室よ?無茶言わないでよ!」
椅子から立ち上がろうとすると、椅子ごと抑え込まれた。
「フロアでは仕事し難いからミーティングルームにいたんだろ?ミーティングルームにいるならここでも良いじゃないか!フロアで仕事して違うとこでしたくなったらミーティングルームじゃなくてここに来い!水菜の椅子はここに用意しておく。」
「しゃ…社長室とミーティングルームじゃ…意味が違うわよ。」
迫力負けしそうになりながら水菜は答えた。
「ミーティングルームだって使用中の時もあるだろ?フロア以外で仕事するならここでしたって良いじゃないか!水菜がいたら通話する必要もないんだし、社長夫人で社員が気を使うなら、社長夫人が社長室にいても良いじゃないか!」
「…………。」
水菜が遠慮して気を使って…表に出さない様にしている事を真は堂々と言った。
水菜はまた暫く無言になった。
(正論…ていうか…まぁ、社長夫人なんだけど…そこ、強調したくないから気を使っていたのよ?私…。フロア以外で仕事するならここでいい?それはそうかもだけど…。)
相変わらずのストレートな考えに思わずくすくすと笑う。
「ん?水菜?駄目か?」
真は反応を気にしながら聞いた。
「…ふふ…ううん、いいわ、そうね?気にしたって社長夫人に違いはないわよね。時々、お邪魔する事にする。いい?邪魔じゃない?」
水菜が言うと真の顔はパァァァァァァと明るくなり、
「邪魔な訳あるかぁ!!」
と、水菜を抱きしめていた。
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