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「社長、お疲れ様でした。コーヒーお持ちしましょうか?」
声を掛けると少し不満顔な真がいた。
「水菜?」
「なぁに?」
「嘘つかれた相手に笑顔を振りまくな?あいつの所為で俺は水菜を怒鳴ったんだぞ?」
「…………。」
(相変わらず……身勝手な言い分!)
と考えていると、
「あ!黙っているという事はなんか考えてるな?」
と言われて、
「んーん?そんな事ないよ?」
と誤魔化す。
「言え!!命令だ!」
と言われる。
ぽりぽりと頬を人差し指で掻いてから、水菜はぼそっと話し始める。
「………そう、ね。確かに怒鳴られたけど、仕事だから私は何も言ってないでしょ?確認が甘かったのも事実だしね?始めたばかりだからと言い訳も出来ないわ。私の責任。だから怒られても誰の所為でもないわ。」
「分かった!じゃあ、俺も謝らない。」
と言うと、水菜の手を取り社長室に誘導した。
「いいわよ?それより、ありがとう。システム管理に納期も重なってたのにフォローもしてくれて嬉しかった。水菜のミスは俺のミスって…凄く嬉しかった。無理させちゃったよね?ごめんなさい。」
ソファに座りながら水菜は隣に座った真に謝る。
「水菜も差し入れとかさ、ありがとな?今年も俺は反省がいっぱいだった。けど……今も水菜が隣にいてくれる。それが一番幸せだ!」
「沢田さん…もう今頃はアメリカに着いたかな?お母様のお仕事のお手伝いをする予定だって聞いたけど…。」
「もう…気にすんな?自由人なんだから油断してるとまた来るぞ?」
水菜の手を取りマッサージしながら真が言う。
「来るのは沢田さんだけ?また新たなセフレが来ない?」
「………。」
「都合が悪くなると真は無言ね?」
くすくす笑いながら言うと、真は否定した。
「そんな事はない!ずっと一緒にいような?お互いが空気になるまで…。」
いつか水菜が先輩主婦SEに聞いた……旦那さんが空気になる、という話しを真は覚えていてそれを口にした。
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