新しい年

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「いいのかな?産んでも…。」 不安そうに真の顔を見て聞く。 「何で駄目なんだよ?」 「だって…統括マネージャー自分から引き受けておいて一年で休むのよ?直ぐに復帰するつもりだけど、暫くは在宅になるし…それ、社長としてはいいの?」 「話しただろ?梨香のための働き方改革。梨香も出来るだけ子供中心で、それでも室長の役職はそのまま、在宅も考えてる。報告や書類は家でも出来る仕事だからな。水菜もビデオ通話で社長室に産むまで居れば良い。俺も安心だし、なんなら仮眠室を子供部屋に変えてもいい。そこに寝かせて授乳すれば隣だし仕事もしやすい。」 「そんな我儘…いいのかな?」 不安そうな顔で水菜が聞く。 「いいだろ?社長夫人の特権だ。使える物を使って何が悪い?そのおかげでうちの会社には託児所も出来たんだし、いずれ在宅も増える。いい事例だ。男、女、男だから次は女の子かな?あ、水菜は直ぐ貧血になるからお正月は安静な?寝正月にしような?」 「……ちょっと恥ずかしいんだけどな?4人目…。」 「ばっか言うなよ?お腹の子が泣くぞ?4人だろうが10人だろうが水菜が元気で産めるなら歓迎する。体を壊してまで産んで欲しいとは言わない。もし水菜が子供が産めないって言われても…俺は水菜を選んだよ?ずっと一緒にいたいから…。病院、一緒に行くからな?」 お腹に手を当てて言われる。 不意の事に少し泣けてくる。 情けない弱い心をそれでいいと言ってくれる人。 お馬鹿で人付き合い下手で、我儘でどうしようもないけど…優しく心を満たしてくれる人。 ずっと一緒にいたいと思える人。 (……出会えた事を…今は感謝しています。) 水菜はお腹に添えられた真の手の上から、手をそっと添えた。
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