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「真…どんだけすけべなの?」
夏休みの子供を社長室の仮眠室で遊ばせていた梨香が、引き取りに来て言う。
「どういう意味だよ?」
不機嫌そうに真は訊き返した。
「だって4人目!凄くない?海が2歳になったら産まれるのよ?」
「1か月は空くよ。海が2歳になって1か月後だ。予定日。2年空いてたら普通だろ?」
「どんだけ水菜好きなのよ?」
「お前はさっきから…!梨香だって三人産んでるだろ?一人しか違わないじゃないか!」
「……なんかさ?水菜が不憫に思えて来たのよ。このまま5人目まで産んだりしたら、仕事に子育て…家事にあんたの世話。水菜が可哀想。」
「……どういう意味かな?」
「そういう意味よ?」
「さすが幼馴染ね?息が合ってるわ。」
二人が睨み合う社長室に、水菜が入って来て笑顔を向け言った。
「水菜、階段平気?秘書室の方が楽なら使っていいわよ?」
梨香が心配して言うと、水菜もソファに座り答える。
「大丈夫よ。気を付けてるし、週に一度の事だから。梨香の方はどう?在宅室長は…。」
「ビデオ通話は助かるけど、時々は来ないとね?直に見ないと分からない事もあるし、倉田さんと佐藤さん、林田には助けてもらっているわ。頼もしい戦力だわ。新しい秘書も入ったし、倉田さんが産休に入る前にはなんとかなりそうよ。」
「女性はどうしても、出産があるとね?」
自身のお腹を見ながら水菜は苦笑した。
仕事を優先したくても頑張りたくても、子供を産みたければどうしても休まないわけにはいかない。
その間に仕事は分からなくなるし、どうしても穴は開く。
産休を取ってくれる旦那様も増えたらしいが、真にそれは無理だ。
ただ理解ある社長が旦那様である事に、水菜は感謝しているし有り難く感じていた。
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