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フリーフロアに降りてお弁当を3人で広げる。
梨香が言う通り、水菜は現在、家事に育児、仕事に真のサポートまでしてくれて、帰れない時は差し入れもしてくれる。
仕事中の冷たい表情は変わらない。
多分、仕事の事を考えていていっぱいいっぱいの顔。
弱いところは見せまいと、ポーカーフェイスになっていると分かる。
母親の時はいつも笑顔。
自分が辛い時も笑顔だから、傷ついている事にも気付き難いし具合が悪い時にも気付いてやれない。
そこは夫としていつも反省の日々。
変わらずに人付き合いが苦手な真は、変わらずに鈍い。
だから水菜から目を離さない様にしてじっと見る様になった。
傷ついていないか、俺を見てくれているか、飽きられてないか、嫌われてないか…水菜のサインを見逃さない様に注意をしている。
「真?おにぎりもう一つどう?」
「もらう!水菜のお弁当美味しいよな?空。」
「うん!美味しい!!お父さんとおそろいだよ、おにぎり!」
「お、本当だ。お揃いだな。」
「美味しい?」
水菜が笑顔で聞く。
「うん!!」
「美味しいよ。水菜もたくさん食べて?二人分だからな。」
女の子でも男の子でも水菜に似ていたらそれはもう可愛いに決まっていて、俺に似ていても可愛いに決まっている。
ーー「水菜の何処が好き?」
昔、梨香に壁ドンされて聞かれた事。
そんなの今でも分からない。
理由はない、理屈じゃない。
水菜がいい、水菜じゃないとダメ!!
分かるのはそれだけ。
目が水菜を探すし、いないと悲しくなる。
水菜が正解だと本能が言っている。
七瀬真には水菜が……必要で…水菜が、いい!!
これは俺の人生の決定事項!
「水菜が、いい!」
ーーー 完 ーーー 2020、1、31
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