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梨香に話を聞いた後、予定通りチーム会議に出てそれが終わると倉田に声を掛けて外出した。
行き先は幸人に聞いた、水菜がいたスーパー。
幸人の予想では、有休消化中、短時間のアルバイトをしているのではないかという事だった。
会社から電車で二駅先、乗り換えもある大きな駅の駅前スーパー。
(思ったより広いな…本当にいるのかな?)
店の中をウロウロして、客が入れないとこにいたら探しても無駄だと気付く。
店員に名前を言って聞こうと、サービスカウンターと書かれた場所へ向かう。
レジが並ぶ横にサービスカウンターを見つけた。
「いらっしゃいませ!」
懐かしい…聞き覚えのある声。
この声を聞く為に同じ店に通っていた頃もあった。
思わず振り返る。
数台離れたレジの中に水菜の姿を見つけた。
(俺…水菜の天才なんじゃないか?)
自分の耳を褒め称えたい気分だった。
レジ前にあったガムを無造作に取り、レジに並んだ。
「いらっしゃい……ませ……。」
固まる水菜も久し振りに見た。
「598円です。」
「話がある。」
言いながらお札を出す。
わざと万札。
キャッシュレス決済では話が出来ない。
「お釣りです……私はないです。仕事中なので…。」
私は…から小さな声でボソボソ水菜は話してお釣りを渡す。
その手をぎゅっと握る。
「ちょ…。」
「話を聞いてくれないなら今、店の商品全部買う。仕事終わるだろ?そしたら話聞いてくれるよな?俺は本気だぞ。」
真の目を見て水菜はため息を吐いた。
「お昼休憩もらうから、その辺で少し待てますか?」
「勿論!」
輝いた笑顔で返事をすると水菜はまたため息を吐いて、
「じゃあ…少し待って。」
と言って手を振り解いた。
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